2010年5月6日木曜日

なぜ "NO もんじゅ" なのか

今日5月6日に、14年5ヶ月ぶりに
福井県敦賀市の高速増殖炉もんじゅが運転を再開しました。
TOKYO BADではこの運転再開に対し、反対の立場を明確に示すこと、
ここに大きな意味を感じたため、再開の日程が発表されてから
残念なことに実際に動き始める今日まで「NO もんじゅ」の意見を載せて参りました。
いままで文章による見解の提示はさけてきましたが、
今回のことに関しては疑問をもたれる方もいるかと思い、
その理由をごく簡単に説明させていただきます。

温暖化対策を進めるにおいて、原子力が有効だという議論がありますが、
そもそも高速増殖炉は、その範疇には入りません。
高速増殖炉には電気を作り出すということにおいての、
生産性や経済性は求められてはいないのです。
また、核燃料サイクルというものを前提として
もんじゅが報道されていますが、もはや先進各国において
この核燃料サイクルという構想は、どの国も持っていません。
もはやそこに夢はないのです。

加えて、高速増殖炉は普通の原子炉と異なり
純度の高いプルトニウムを生産し、それを使い原子爆弾が製造できます。
また、もんじゅのシステム構造的に見ても
それはとても不安定、かつ危険なもので、
高速増殖炉は欧米各国では、もはや稼動はしていません。
もんじゅがモデルとしたドイツのカルカー高速増殖炉は、
3度のナトリウム漏れ火災(ナトリウムは空気に触れると発火)により、
ナトリウムという物質そのものの性質を把握しきれていないという判断もあり、
もんじゅ初運転よりだいぶ前の1985年にその運転を停止しています。
そしてドイツにおけるその経験を知りながらも、
もんじゅはナトリウム漏れの事故を起こしています。

その後ナトリウムに対する研究が進み、利用可能となったという報告もなく
世界的にナトリウムの原子力への利用がもはや過去の歴史となる中、
14年前の事故当時と同じシステムを利用した
高速増殖炉もんじゅが運転を再開した、ということになります。

大手のメディアは広告収入として関連企業にお金を落としてもらっており、
またその一方的な広告により市民は現実を知りません。
とはいえ、海外の事実は誰でも調べることの出来るものであり、
全世界的に見ても、日本がどこへ向かおうとしているのか、
何をしようとしているのか、注目されていると思われます。
そこには明らかな意識と知識のギャップが存在しているのです。

また、原子力産業はその裾野が広く、関連企業もかなりの数に上り
また特に核燃料サイクルは国策と密接に結びついている為に
巨額の金が絡んだ利権構造が存在しています。
しかし、このことは前述の理由もあり報道されにくい。
しかし、ここで犠牲にされるのは結局、一般市民です。
そして国土です。
一度の大事故でその地方が消えてしまうとも言われるほどの
危険物質を取り扱っている危機感が本当にあるのか、
そこに疑問を抱かずにはいられません。

TOKYO BADのB、すなわちBreak(破壊)するべき対象のその最たるもの
それが高速増殖炉もんじゅではないか、
TOKYO BADは少なくともその意志を明確に表明するべき時だと考え、
今回のNO もんじゅ一連の投稿をいたしました。
これで一旦もんじゅについての投稿は終わりとしますが、
皆様も何より今後のもんじゅ関連の動向を注視してもらえればと思う次第です。

最後までお読みいただいた方に感謝いたします。
また今後とも、TOKYO BADを、またこのブログを
ご愛顧いただきますよう重ねてお願い申し上げます。


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